スコティッシュフォールドとは

純血種や遺伝性疾患の知識

純血種とMIX・雑種の猫ちゃん

猫ちゃんを家族に迎えるにあたって「純血種」の猫ちゃんにするか
「MIX・雑種」にするのか迷うポイントだと思います。
ペットショップやブリーダー直販は基本的には「純血種」を扱っているところが多いですが
最近では「MIX」表記の店舗も増えてきていますね。
ここでは純血種雑種・MIXの違いと、それぞれに抱えた問題点なども説明します。

純血種の猫

ここでいう純血種とは決められた規定(血統)を守るために
交配され
生まれてきた猫種のことをいいます
純血種は同じ血統か規定により定められた親から生まれた子供たちなので
全ての純血種には「血統書」が存在しています。
血統書のない場合は純血種として認められない場合もあります。
※血統書は人間の「戸籍」のようなものです

純血種は血統を守るために適切な繁殖をする必要があり
そのブリーディング(繁殖方法)も何種類かあります
「インブリード」「ラインブリード」「アウトブリード」
競馬などを知っている方には馴染みのある言葉かもしれませんが
主に「インブリード(近親交配)」配合している場合は
遺伝性疾患を持って生まれてくる可能性が高くなります。
「ラインブリード」は同血族内交配で「近親」ではない配合方法
「アウトブリード」は血縁関係のない交配方法で親の特徴を受け継ぐ配合方法

アウトブリード>ラインブリード>インブリードの順で危険度は増していきます

MIX・雑種の猫

ここでいう「MIX」とは別の呼び方で「ハーフ」「ハイブリッド」とも呼ばれます
雑種の別の呼び方ではなく本当は「純血種同士を交配させた種」であること
要するに「血統書付きの純血種A」×「血統書付きの純血種B」で
まだ新種として認められていない猫種の事を指します。(スコマンチ等)
新種として認められていない要素には「遺伝性疾患の可能性が高い」ことや
「研究されている時間が短く健康的、種の特徴などが確定できない」など
血統書付きの親から生まれても「血統書が認められない」子ども達になります
「MIX」の猫ちゃん達はそれぞれの猫種の特徴を併せ持っている事が多く
その見た目と特徴の珍しさも相まって人気が高まっている現状もあります

「雑種」とはさまざまな異なる血統が混ざっている種の事を指します
外見的特徴から「何となく」どの種が交わっているか判断の付くものから
想像すらできないケースもあります。
主に野良猫や地域猫を指す事が多く、交配も近親交配の事も多くある為
生まれながらに疾患を抱えていたり、重い遺伝性疾患の持病を抱えている事も。
こうした悲劇を少しでも無くしたい思いから「保護猫活動」している方々も
少なくありません。
ですが、健康な雑種は純血種より丈夫で長生きするというデータもあります

 

遺伝性疾患といえば

代表のように「スコティッシュ」「マンチカン」…

私は「スコティッシュフォールド」のブリーダーですので特にこの風評被害に困っています

まず皆さんに知ってもらいたい事の一つに

『ほぼ全ての純血種の猫は遺伝性疾患の可能性がある』

ということ。
長年「人気猫種1位」なのでアンチがついていると思うようにしてますが
有名ユー〇ューバーが「スコティッシュ」を飼い始めた時の炎上っぷりも凄かったです
当店へのSNSコメントにも「繁殖してはいけない!」等のアンチコメントが来ました。

確かに「スコティッシュフォールド」も遺伝性疾患の可能性はあります。
ですが他の猫種も当然あるのです。

では遺伝性疾患ってなに?というところから説明します。

遺伝性疾患とは
「遺伝子」・・体を作る設計図でこの形が親から子へ受け継がれていきます
この遺伝子に異常が起き、その異常な遺伝子が親から子へ受け継がれる事で
障害や病気も子どもに受け継がれてしまうことをいいます。

~主に多いとされている遺伝性疾患と猫種~

※必ず疾患が出る訳ではないので誤解のないようにお願いします

PKD)多発性嚢胞腎・・・ネコに最も多い神経の疾患。慢性腎不全になるケースが多い。

・アメリカンショートヘア・エキゾチックショートヘア(ロングヘア)
・コーニッシュレックス・サイベリアン・雑種・スノーシュー
・セルカークレックス・ソマリ・チンチラペルシャ・デボンレックス
・バーミラ・ヒマラヤン・ブリティッシュショートヘア・ペルシャ
・ベンガル・ボンベイ・マンチカン・ミヌエット・メインクーン
他多種

PK-Def)ピルピン酸キナーゼ欠損症・・・血液の疾患。赤血球が破壊され貧血を起こす。

・アビシニアン・エジプシャンマウ・オシキャット・オリエンタルショートヘア
・サバンナ・ジャパニーズボブテイル・シャム・シンガプーラ・マンチカン
・ミヌエット・メインクーン・雑種・サイベリアン・ノルウェージャンフォレストキャット
など

HCM)肥大型心筋症・・・心臓の疾患。左心室の筋肉が肥大する。心不全や突然死

・ノルウェージャンフォレストキャット・ベンガル・メインクーン・ラグドール
・サイベリアン・サバンナ・アビシニアン・エジプシャンマウ・シンガプーラ
・ソマリ
など

OCD)骨軟骨異形成・・・主に関節の疾患。骨瘤ができるケースや慢性的な関節炎に。

・スコティッシュフォールド・マンチカン・ミヌエット・アメリカンカール
・ヒマラヤン・ペルシャ
など

PRA)進行性網膜委縮症
・・・目の疾患。網膜に委縮し、進行によって失明の可能性も。

・アビシニアン・シャム・ペルシャ
など

遺伝性疾患の可能性は上記を見ても全ての猫種にありますが
遺伝子検査も普及してきましたし、自分の愛猫がこれらの遺伝子を持っていても
必ず発症するものでも、しないとも言い切れない「難しい」問題なのです

「遺伝子検査がクリア」だとしても完全に発症しないとも言い切れない確率です
「キャリア」はなるともならないともいえない確率で
「アフェクテッド」はややなりやすいという確率です。

私たちブリーダーが繁殖するにあたって
親猫たちの遺伝子検査は必須となってきてますので、全ての繁殖者が
遺伝子検査をしたうえで責任をもって繁殖するようになれば
新しいご家族を迎えた方々も納得の上で一緒に過ごせるとともに
ゆくゆくは遺伝性疾患を抱えた猫を無くすようにできるはずです。

『スコティッシュフォールド』のブリーディング

「スコティッシュフォールド」は「折れ耳(垂れ耳)」「立ち耳」が存在します
スコティッシュフォールドの折れ耳は簡単に言うと「奇形」です
表現は悪いですが、その折れた耳が特徴で「愛らしい」「可愛い」と
人気になった要因でもあり、過去にはその「耳の特徴」を大量に生産しようと
利益重視で乱繁殖される倫理的に問題のある歴史もあったようです

この問題というのは「折れ耳」×「折れ耳」の交配方法の事で
現在では禁止になっている繁殖方法です。
※乱繁殖では近親交配も行われていたケースもありました。

今現在認められている交配は

スコティッシュフォールド同士ならば
「折れ耳」×「立ち耳」「立ち耳」×「立ち耳」

スコティッシュフォールドと別猫種ならば
「スコティッシュフォールド」×「アメリカンショートヘア」
「スコティッシュフォールド」×「ブリティッシュショートヘア」
配合のみ認められています
※他猫種との交配で「スコティッシュフォールド」と血統書に登録
できるのはこの2種(交配に適した丈夫な種と認められている)のみです。

なのでそもそも「スコティッシュフォールド」×「マンチカン」等の交配は
あえて認められていない「スコマンチ等」を作る為か、多種猫の飼育を管理
出来ずに生まれてしまった不幸な猫ちゃん達の可能性が高いのです。
私が別記事で「スコマンチ」の是非を書いた理由は↑ここにあります。
※すこねこ店長ブログ「猫ちゃんを迎えるのはどこからが良いのか?」ペットショップの項目参照

当方が「スコティッシュフォールド専門」
でおこなっているのは、この決められた繁殖方法を守り
種として更に丈夫で安心な猫種にするべく、徹底した飼養管理をして繁殖し
皆様のご家族の一員として末永く一緒に幸せになれるように
「橋渡し」する役割の責任を全うするためです。

当方のパパ猫は「立ち耳」限定です。
(※ママ猫には「立ち耳」も「折れ耳」もいるため)
当然別の家系(スコティッシュフォールド)の健康な子のみです。

写真の猫ちゃんは
当方のパパ猫(左):ムサシくん・短毛
未来のパパ猫候補(右):レオくん・長毛

皆様に安心して頂ける様に今後も徹底した管理繁殖をお約束します

 

さいごに

正しい知識と選択で不幸な猫ちゃん達を一匹でも無くすようにしたいですね
殺処分”0”も捨て猫”0”も私たちや猫の飼主様次第で達成できる目標です
疾患を0にする事は正直難しいですが、それは私たち人間も同じです
病気になったら責任と愛情を持ってしっかりと動物病院へいきましょう!